里帰りで切迫流産・切迫早産安静時に実家にお世話になる場合の注意点

元々里帰り出産の予定があった場合や、パパが単身赴任や頻繁な出張が必要だったりなどの事情で、切迫流産・切迫早産安静時に実家に滞在してお世話になる場合があるでしょう。

理解のあるご両親との同居であれば万が一のときも安心ですが、「親しき仲にも礼儀あり」です。注意点を見ていきましょう。

親の生活リズムを尊重しながら上手に甘える

親は自分たちの生活リズムを確立しています。たとえ娘であっても、成人して一度家を出た以上は、突然自分のわがままで自分中心の生活に親を合わせることはできません。

現役で仕事をしている場合もあるでしょうし、健康上の支障がある親もいるでしょう。そこに寝たきりの娘の世話が重なるとなれば、負担も大きなものです。娘にやってあげたい気持ちと、現実的にできることとの間に隔たりがあるのは仕方のないことなのです。

ただし、切迫流産・切迫早産の安静中は、どこにいようと無理は禁物です。医師の指示によりできないことは素直に伝え、手を貸してほしい部分を正直に伝えてお願いしましょう。

ときには、支援を断られる部分もあるかもしれません。たとえば食事の用意についても、親に毎食分は手が回らないからと断られたとしたら、「昼は冷凍の宅食サービスを別途頼むので、冷凍庫のスペースを空けてほしい」と頼むなど、折り合いをつけながら話しましょう。

親の力だけですべてサポートしてもらうのが不可能だからと不満をぶつけたり悲しんだりすることなく、大人の強みで冷静に交渉することもときには必要です。

切迫流産・切迫早産安静の必要性を医師の言葉として伝え、用事を言われた場合は毅然と断る

切迫流産・切迫早産への理解が足りない親世代は多いものです。親世代は今のようにネットで簡単に情報が手に入る環境にはなかったので、自分の妊娠経験や、周りの限られた人間関係の中で起こったことの知識しかないことも多いのです。

そのため、娘が家にいるのだからと悪気なく「ちょっと、新聞を取ってきてくれる?」、「お皿、洗っておいてもらえる?それくらいならできるんでしょ?」などと小さな用事を言いつけてしまう、ということも起こりえます。

そのたびに切迫流産・切迫早産安静の必要性の説明を繰り返すのは、精神的にも多大な負担となってしまいます。最初の段階で、切迫流産・切迫早産による安静の必要性をしっかりと説明しておきましょう。

危機感が薄い親の場合、ときには「これ以上動いたらお腹の赤ちゃんに障がいが残るかもとお医者様に言われた」などと、ショッキングな言葉を使う必要もあります。娘の意見は話半分にしか聞かない親でも、あくまでも権威ある産科の医師の言葉として伝えれば理解してもらいやすくなるでしょう。

診察結果はつど共有し、今自分がどのような状態なのかについて説明を惜しまずに理解してもらいましょう。

同居のきょうだいやその家族がいる場合は、自分は居候であるとわきまえる

実家が大家族で同居しているきょうだいなどがいる場合は、より居候としての立場で気を付ける必要があります。

小さな頃は遠慮なく喧嘩して遊び回っていた仲でも、大人になって実家同居のスタイルで生活を確立しているきょうだいにとっては、自分の家に突然寝たきりの第三者が転がり込んできたということで、調子がくるってしまうこともあります。

同居のきょうだいの生活リズムを尊重してわがままを言わず、手を貸してくれる場合はささいなことでも感謝の気持ちを言葉で伝えましょう。

同居のきょうだいに、配偶者がいたり、甥姪がいるならばなおさらです。もう実家は同居のきょうだい世帯の家なのです。直接のお世話にはならなかったとしても、「突然お邪魔してしまいごめんなさい。受け入れてくれてありがとう。」という言葉と気持ちが必要です。

ただし、甥姪の遊び相手にされてしまったりと、安静の負担になるようなことは、無理して受け入れる必要はありません。「今は寝かせてね。出産して元気になったら赤ちゃんも一緒に遊ぼうね。」と伝えましょう。

また、出産し落ち着いてからでもいいので、お金やギフトカード、品物などでお礼をしましょう。これから生まれる赤ちゃんにとっては、祖父母であり、おじおばであり、いとこです。気持ちよく親族関係がスタートできるように心がけましょう。

勝手に実家の物の配置を変えたり荷物を持ち込んだりせず、細かいことでも許可を得る

もし、実の両親やきょうだいであっても、自分とパパの家に勝手に物を持ち込んで一方的に「これをここに置いておきなさい!」などと言われたり、知らないうちに物の配置を変えられていたりしたら、不満を覚えることと思います。

自分の領域に物を持ち込まれたり、物の配置を移動されてしまう、というのは、自分だけではなく実家のメンバーからしても、思いのほかストレスを招くものです。自分の実家だからとついつい勝手にしてしまい、お互いに嫌な思いをすることがあっては残念です。

切迫流産・切迫早産の安静中は、手元に生活必需品を置いたり、できるだけ動線を短くするために物の配置を変えた方がよい場合が多々あります。自分の家とは違い、使い勝手が悪い場面もあるでしょうから、より工夫が必要です。

特に浴室や台所、トイレなど共同の場所については、細かいことでも「タオルは高い場所にあるとシャワーのときに無理して取れないから、ここに置いておきたいけど、いいかな?」といったように、親に許可を取りましょう。

きちんと説明があり、事前に打診してくれることで、親も受け入れやすくなることでしょう。親のこだわりなどから許可がおりない場合も、喧嘩腰にはならずに妥協案を考えて伝えましょう。そして許可を取れた場合は、「ありがとう」の言葉を忘れないようにしましょう。

パパからもママの実家にお世話になっているお礼をするように促し、頻繁に連絡してもらうようにする

パパの仕事の都合があったとしても、娘を実家に丸投げして連絡もあまりよこさないとなると、実家としては不信感がつのってしまうでしょう。

本来であれば、ママのサポートは家族であるパパの役目です。そのパパの役目をママの実家が引き受けているのです。「仕事が多忙だから、単身赴任だから、仕方ない。ママの実家の方が安全だから」だけで済まさず、パパの口から、自分が満足にサポートできない状況にあることをママの実家にお詫びし、全面的にサポートをまかせていることに感謝の気持ちとお礼を伝えてもらいましょう。

近距離であればできるだけ頻繁にママの実家に足を運んでもらったり、遠距離であっても電話で頻繁にママの安否確認をしてもらうといいでしょう。パパの気配や心配が伝わることで、ママの親も安心するはずです。

なかなか実家でパパの気配が感じられないという場合は、ママから促しましょう。ただ単に、ママの実家に敷居の高さを感じて及び腰であったり、遠慮している場合もあるからです。立場を入れ替えてみれば、ママが義実家に頻繁に連絡を入れるのはなかなか敷居が高く感じることでしょう。お互い様の側面もあるのです。

「私の実家のおかげなんだから、お礼を言って!」ではなく、ママがしっかりと「私の家は、あくまでもパパとの家」という姿勢を示して間に立つことで、パパは安心してママの実家に顔を出したり連絡ができるでしょうし、それに伴い実家のパパに対する印象もよくなるでしょう。

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