切迫流産・切迫早産と仕事①そのまま産休も。正規雇用の場合

共働き世帯が専業主婦世帯を上回る現在、育児と仕事との両立の話題は常にたけなわですが、妊娠期における仕事との両立については、あまり知られていない実情を感じます。

切迫流産・切迫早産で安静が必要となった働くプレママは、仕事との両立問題をどのようにクリアしたらよいのでしょうか。

今は仕事をやめてはいけない

正規雇用の場合、医師の切迫流産・切迫早産の診断書があれば、法的に休職する権利があります。「仕事を続けることはできない」と勢いで退職してしまうのは避けましょう。

その理由としては、今は赤ちゃんのことで頭がいっぱいで、今後のキャリアプランまで総合的に判断して結論を出すのは難しい状況だからです。

もちろん、育児との関わり方や夫婦のライフプランを見据えた上で、妊娠・出産を機に退職するという選択肢もあります。

しかし、のちに専業主婦としての思ってもみなかった育児のつらさや、学費がかかり始めたり2人目や3人目を望んだときに分かる経済的不安、再就職の壁の高さなどに直面して「こんなはずじゃなかった」となってしまったときに、充分考えた上で下した判断の結果か、切迫流産・切迫早産の診断で不安になり勢いで下した判断の結果なのかでは、後悔の度合いが違うのです。

診断書があれば、いったんその重大な判断は先送りにできます。もし仕事を続けることに迷いがあったとしても、タイミングとしては、無事に出産し、育休を取得して育児を経験し、職場復帰して実際に両立を経験してから判断することをおすすめします。

切迫流産・切迫早産とは、正期産で縁を切りましょう。「あのとき切迫流産・切迫早産になったせいで…」そんな風にのちのちまでしこりを残してしまうのは、本当に残念なことです。

これは社会全体の課題であると思いますが、育児を経た女性が離職前と同等の社会的地位や収入を回復するには相当の困難を伴うために、結局は条件の落ちた労働市場に収まらざるを得なくなる、という厳しい現実があります。だからこそ、今は冷静に広い選択肢をキープしましょう。

次回妊娠を考える際も、早め早めに戦略を立てることが必要です。

関連記事:3度の切迫流産・切迫早産を繰り返しながら仕事を続けるには!?7つの勝因を大公開!

リモートワーク(在宅勤務・テレワーク)を希望し、負担を減らす

妊娠が分かった時点で、リモートワークの制度がある職場であれば積極的に利用しましょう。切迫流産・切迫早産の診断が下るまでの間の通勤による負担を回避することができます。

また、引継ぎについてもリモートワークの環境が整っていれば、自宅からスムーズに行うことができるでしょう。

リモートワークで休職を回避する選択肢もありますが、長時間パソコンの前に座って業務に集中するのも負担になるため、無理は禁物です。医師の指示に従い、いつ休職になってもいいように上司とこまめに連絡を取り合い、引継ぎ準備をしておく必要があります。

関連記事:切迫流産・切迫早産でもリモートワーク(在宅勤務・テレワーク)ならできるの?コロナ禍における新たな選択肢

「そのまま産休」への段取りについて

切迫流産・切迫早産の診断が出たら、まずは直属の上司にすみやかに連絡し、状況を説明しましょう。

間違っても、「最後にどうしても片づけたい仕事があるから」などと医師の指示を無視して職場に出向いたりすることがないようにしてください。職場で何かあれば、それこそ周りに大迷惑をかけてしまうことにもなります。

取り急ぎ有給、欠勤などを組み合わせた休みに入り、その後休職という流れになると思います。そのまま産休、育休と進んでいきます。直属の上司や人事の人と連絡を取り合い、調整しましょう。

医師の診断書については、即時提出する必要はありませんが、できるだけ早い段階で用意が必要です。大学病院など診断書をもらうのに時間がかかる場合は、病院の文書担当の課へ問い合わせをして、診断書を依頼してから何日で受け取れるかを確認しましょう。

診断書のためだけに病院への往復を増やすのは身体の負担になりますので、次回診察時に依頼して手元に届くまでの日数を確認し、「〇日までには郵送できる予定です」と職場に伝えましょう。

直属の上司にはお詫びとともに、今担当している仕事の内容を伝達しましょう。普段から自分の仕事内容や進捗を把握してオープンにし、作業マニュアルを作成して必要なデータと共に共有フォルダに入れておくなど工夫をしておけば、こうしたときでも迷惑を最小限に抑えて引継ぎができます。

今後、育児との両立が始まると、子どもの体調次第で急に出社できなくなる場合は多々あります。また、次回の妊娠まで考えている場合は再度切迫流産・切迫早産診断となる確率もあります。そうしたときに、今回の事態を教訓として生かしていくことができます。

悲観的にならず、前哨戦だと思って寝ながら前向きに連絡を取りましょう。

休職後も必要に応じて報告をする

いったん休職となれば、まずは仕事の件は一安心です。引継ぎも終われば、あとは職場の仲間を信頼し、必要以上に気に病まずに安静のまま、赤ちゃんの成長と無事な出産を待ちましょう。

ただし休職後も、例えば自宅安静から入院となり電話での連絡が取りにくくなる場合などは、会社の人事や上司などに報告しましょう。状況が分かった方が、相手も安心です。

無事に出産したときは、急な休職で対応してくれた直属の上司にお詫びと感謝の意を添えて、その他の同僚に対してよりも先に報告をしましょう。

出産報告しやすい親しい同期などもいるかもしれませんが、せっかく急な休職のために時間をさいて対応して頂いたのに、「産まれたらしいですよ」などと他の人から聞かされるようなことがあっては、上司に対して失礼です。

人事の方も、必要な提出書類など事務処理が待ち受けていますので、手間をかけないようにすみやかに連絡し、書類を不足なく取りそろえて提出しましょう。