切迫流産・切迫早産×妊娠糖尿病の対処法
切迫流産・切迫早産に加えて、別の症状を抱える例は少なくありません。
ここでは切迫早産と妊娠糖尿病のクロストラブルについて見ていきます。
目次
切迫流産・切迫早産×妊娠糖尿病の相性について
妊娠糖尿病への対処の基本は、食事療法・血糖値測定による管理・必要であればインスリンの使用です。
しかし、切迫流産・切迫早産を併発している場合、点滴で血糖値が上昇してしまったり、キッチンに立って血糖値をコントロールする食事を調理することができなかったり、安静により運動療法がとれないなど、何かと相性が悪い組み合わせです。
また、切迫流産・切迫早産安静中は食べることだけが唯一の楽しみとなりがちなので、その食事までもが制限されてしまうとなると、精神的苦痛が増すかもしれません。管理入院中に、自由に間食を楽しむ別の切迫妊婦と自分を比べてしまう…ということも起こりえます。
しかし、妊娠糖尿病×切迫流産・切迫早産の組み合わせは決して珍しいことではなく、管理入院中も周りでよく見ました。医師の指導を守っていれば、クロストラブルも闇雲に恐れることではありません。
医師を信頼し、食事以外の楽しみを見出してやり過ごしましょう。
自宅安静時は切迫流産・切迫早産安静と血糖値管理を両立する
切迫流産・切迫早産が自宅安静レベルの場合は、妊娠糖尿病による血糖値管理のための入院とならなければ、食事指導があります。しかし、自宅安静時に血糖値管理を踏まえた食事を毎食調理するのは負担となります。
そこで、栄養バランスが取れた宅食を一日一回分でも頼むといいでしょう。上記リンクのベルーナグルメの「はなまる御前(野菜たっぷりタイプ)」は特におすすめです。ベジタブルファーストをふまえ、野菜⇒タンパク質⇒糖質の順に食べると血糖値が上昇しにくいからです。
レンジでチンするだけの冷凍便であれば、切迫流産・切迫早産安静中でも身体の負担になりません。冷凍タイプだけでは安静中に冷凍庫がいっぱいになってしまうので、常温タイプも併せて注文できる点が魅力です。
くれぐれも、血糖値の上昇を嫌がってご飯を抜くなど不当な糖質制限はしてはいけません。胎児の成長に必要な栄養素でもあるからです。血糖値の上下に一喜一憂するよりも、「こうした食材は血糖値が上昇しやすい」などの傾向を冷静につかんでいった方がいいです。
医師に指導された頻度で血糖値測定を行い、診察の際に提示して、指示に従いましょう。
病院食は妊娠糖尿病用の制限食に切り替えられる
管理入院をしている場合は、妊娠糖尿病が発覚すると、食事療法として通常の妊婦食から妊娠糖尿病用の制限食に切り替えられます。管理人の入院していた病院では、妊娠高血圧症の人も同じ制限食だったため、塩分もかなり控えめな食事でした。
また、妊娠糖尿病の管理入院から入った場合は、最初から食事療法がとられます。制限食での食後血糖値を測定して、必要であればインスリンを使用することとなります。
いずれの場合も制限食以外の間食は禁止されますが、病院から提供される間食は計算内なのでもちろんOKです。その他はお茶くらいなら口にできますが、不安な場合は看護師につど相談するようにしましょう。
制限食は味気ないものですが、知らず知らずに濃い味付けに慣れきってしまっている舌をリセットするいい機会です。今後離乳食や幼児食を用意するときの基本である「薄味」の感覚を養うことにもつながります。
張り止めの点滴と血糖値の相関関係
管理入院中に張り止めの点滴が入っている場合、点滴に入っている糖分により血糖値が上昇してしまうため、必要なインスリンの単位も増加します。
24時間の点滴なので、ヒューマログなどの即効性のあるインスリンに加え、就寝中の血糖値をおだやかに下げるレベミルなどのインスリンを併用することもあります。
優先されるべきは、早産を防ぐウテメリン等の点滴です。血糖値の上昇は、インスリンの単位を上げることで対処します。
週数が進むにつれて必要な単位は上がりやすいため、点滴を使っている場合は特に、単位の上昇に落ち込んでしまうかもしれません。しかし、医師の指導内でのことですから、心を無にして受け入れましょう。
また、妊娠糖尿病が分かると、点滴はキシリトールのものに切り替えられます。
安静解除までの運動療法は厳禁
妊娠糖尿病だけであれば、ウォーキングなど医師の許可した範囲内での運動療法が推奨されます。
しかし、切迫流産・切迫早産を併発している場合は、妊娠糖尿病がない人と基本的に同じで、安静一択の生活となります。
血糖値の上昇を気にして、切迫流産・切迫早産安静中に運動をしてしまうなどということは厳禁です。安静中であっても食事療法や適量のインスリンによって血糖値をコントロールできますので、安心してください。
正期産を迎えてから、転倒に気を付け無理のないウォーキングなどで適切に身体を動かすといいでしょう。その際は、食後1~2時間の運動がよいとされています。
出産後の妊娠糖尿病の影響について
妊娠糖尿病は、元から糖尿病の人が妊娠した場合の糖尿病合併妊娠とは異なり、基本的に胎盤を抱えた妊娠時のみの症状です。
切迫流産・切迫早産とは異なり出産後に渡る影響を心配する人も多いと思いますが、闇雲に不安にならないようにしましょう。
赤ちゃんへの影響について
妊娠期間に食事療法やインスリンで適切に血糖値を管理していれば、赤ちゃんへの影響を闇雲に心配する必要はありません。
出産後は、赤ちゃんの血糖値管理については、病院側はお手の物です。もし異常値が出たとしても、NICUやGCUといった施設で厳重に管理してくれます。
切迫流産・切迫早産の場合、出産する週数によっては同施設で手厚い看護を受けることとなりますが、前もって母体の妊娠糖尿病が分かれば、出産前後に小児科と連携して合わせて対応してもらえることとなります。
母体への影響について
妊娠糖尿病の場合、出産後も後遺症として糖尿病が残るのではないかと不安に思う妊婦は多いかもしれません。
基本的には、出産により胎盤を排出すれば、妊娠糖尿病はなくなります。念のため出産後3ヶ月程度経過したところで再び糖質負荷検査を受けますが、長年妊娠糖尿病を見てきた糖尿内科の医師、ベテランの産婦人科の医師ともに、出産後に後遺症として糖尿病となった例は見たことがないと話していました。
もし出産後も血糖値の異常が残るとしたら、妊娠前からすでに糖尿病の兆候があったためで、妊娠が直接の原因ではない場合と言えます。その場合は妊娠糖尿病より糖尿病合併妊娠の性格が濃いと思われます。
ただし、妊娠期に妊娠糖尿病が発現した人は、将来、糖尿病になりやすい体質である傾向はあるようです。その傾向に妊娠をきっかけに気づくことができ、若いうちから食生活を正すチャンスに恵まれたのは、大きなアドバンテージなのです。
大切なのは、出産後の生活習慣です。今回の妊娠で食生活の大切さを学べたことを忘れず、子どものためにも自分の身体をないがしろにせず、育児で忙しい中でも健康に気を付けて過ごしましょう。また、生活習慣病健診や人間ドッグも定期的に受けましょう。
次回の妊娠でも妊娠糖尿病は再発するのか
次回の妊娠を考えている場合、再び妊娠糖尿病を再発するかどうかについての心配もあるでしょう。
これについては、「再発する場合もあるし、しない場合もある」が答えとなります。ただし、前回の妊娠で妊娠糖尿病とならなかった人に比べると、なる確率は高いと思われます。
管理人は1人目、2人目で妊娠糖尿病となり、インスリンを使用していました。いずれも切迫早産の管理入院とかぶっていたため、病院食での食事療法も行っていました。
1人目のときは切迫早産の張り止めの点滴をしていた影響で血糖値が上昇しやすく、インスリンの単位が多く必要でした。食事前のヒューマログに加えて就寝前のレベミルも使用していました。
2人目のときは点滴を使用していなかったためか、最低単位で食事前のヒューマログのみの使用でした。
ところが、3人目のときは、糖質負荷検査で全く問題とならず、妊娠糖尿病の診断はつきませんでした。病院食も制限食ではなく通常の妊婦食のままで、食事制限もありませんでした。
とても意外でしたが、主治医の話によると、前回の妊娠で妊娠糖尿病となっても、再発するとは限らないとのことでした。
とは言え、妊娠糖尿病の既往歴がある場合は、次の妊娠までの間も気を付けるに越したことはありません。妊娠前から、年1回の人間ドックや生活習慣病健診を受け、できるだけ不要な間食を避けるなど、食生活を正すよう心がけることが必要でしょう。