切迫流産・切迫早産と仕事②派遣社員・パート・フリーランスの場合

共働き世帯が増加する中で、育児期の母親の働き方は多様化しています。必ずしも正規雇用とは限らず、派遣社員・パート・フリーランスといった柔軟な働き方を選択する人もいます。

正期雇用や公務員などと比べ、切迫流産・切迫早産安静中の地位や収入が安定していない点は不利ですが、入念に計画を練って動くことで、キャリアのブランクを最小限にとどめて活躍することもできます。

派遣社員が切迫流産・切迫早産安静となった場合

派遣社員の場合であっても、出産後に仕事との両立を希望している場合は、派遣元にその旨を伝えましょう。切迫流産・切迫早産安静が契約期間内であれば、男女雇用機会均等法により、継続の意志を示せば契約を切られることはありません。

しかし、絨毛膜下血腫を原因とした初期の切迫流産などでは出産までの間に安静解除となる場合もありますが、時期の見通しはたたず、「この時期には必ず復帰できます。」とは言えません。

さらに切迫流産・切迫早産の多くは、産休に入る34週を越えた正期産までの安静を必要としています。こうした中で派遣契約が切れてしまう場合は、切迫流産・切迫早産安静という状況下での契約更新は難しく、現在の派遣先での仕事復帰は難しくなるでしょう。契約切れは解雇とは違うからです。

ただし、派遣元や派遣先の職場の配慮次第では、そのときの人員の状況次第で再度契約を行い仕事復帰が可能なケースもあります。切迫流産・切迫早産安静から産休・育休を経て時短の形態で復帰できた例も少数あります。

派遣先の職場に対しては、直接対面できなくても業務の引継ぎや挨拶を真摯に行いましょう。

間違っても、契約更新のためと安静指示を無視して出社することがないようにしてください。虚偽の申告や不慮の事態で逆に派遣先に迷惑をかけてしまうと、再度契約や直接雇用への切替えといった道にも支障をきたす恐れがあります。

また、安静中は有給休暇以外の期間は無給となりますが、傷病手当金の請求を忘れずに行いましょう。

パートが切迫流産・切迫早産安静となった場合

パートで切迫流産・切迫早産となった場合、仕事の継続は不可能だという思い込みがあるかもしれません。また、雇い主側も、このようなケースに不慣れなために解雇を言い渡してしまう、ということがあるかもしれません。

実際は、パートであっても男女雇用機会均等法により守られる立場にあります。男女雇用機会均等法では、「妊娠中の女性労働者が母性健康管理措置により休業したことを理由に解雇や退職強要をすること」は禁止されています。従って、切迫流産・切迫早産の診断を理由にした解雇は認められていません。

納得いかない対応を取られた場合は、労働局へ相談しましょう。

もし妊娠を期にいったん退職することを元から考えていた場合は、想定していた退職のタイミングと前後して切迫流産・切迫早産となってしまい、混乱するかもしれません。

冷静に手続きを取り、対面の挨拶ではなくても快く職場を去れるように心がけましょう。出産後に、挨拶に出向いて担当者へ感謝を伝えるのもいいですね。

フリーランスが切迫流産・切迫早産安静となった場合

フリーランスの場合、在宅で寝ながら継続できて、上体を起こした状態からすぐ安静体制をとれるような仕事であれば、続けて働くことも可能です。

しかし、雇用されている立場ではないことから、仕事を休止している期間は保障がなく、収入が途絶えたり仕事の依頼が来なくなったりといった危機感にさらされがちです。そのため、お腹の赤ちゃんために危機意識を高く持ち、くれぐれも無理することがないように気を付けましょう。

切迫流産・切迫早産安静中は自宅を離れる仕事はできなくなりますし、緊急事態があったときに突然業務の継続が一定期間できなくなることも考えられます。

依頼主に迷惑をかけず、その後の信頼につなげるためにも、現在の状況は正直に伝えておいたほうがよいでしょう。

切迫流産・切迫早産安静に入ることで即座に依頼主に迷惑がかかるような仕事内容の場合は、すみやかに依頼主に状況を説明し、今取り組んでいる仕事をできる範囲で締めたら休みに入ることも検討しましょう。

出産後に仕事を再開する時期にきたときに、ブランクを感じさせない活躍ができるよう、切迫流産・切迫早産安静中も寝ながらできるスキルアップを心がけていきましょう。

雇用形態を理由に諦めず、リモートワーク(在宅勤務・テレワーク)を希望する

切迫流産・切迫早産に関わらず、妊婦に有利な働き方としてリモートワーク(在宅勤務・テレワーク)があります。

「派遣社員・パート・フリーランスの場合、正規雇用の場合と違い、リモートワークという働き方は難しいのではないか」という先入観があるかもしれませんが、そうとは限りません。

もちろん職場環境や職種にもよりますが、リモートワークが可能かどうかは、必ずしも雇用形態に依存する話ではありません。正規雇用者がリモートワークを主軸に置いた働き方になることで全社的なシステムが整備され、共に働く派遣社員・パート・フリーランスもそこに乗っかっていけるからです。事実、管理人の友人にも、完全リモートでできるパートを見つけて働き出した人がいます。

派遣社員・パートには、リモートワークに関する十分な情報が行き届かない恐れもあります。情報を待つだけではなく、思い切って自分からアクションを起こし、リモートワークを希望する意志を伝えることも、ときには必要です。案外、すんなりと認められるかもしれません。

フリーランスの場合は、思い切った自らの働き方改革が必要となります。オンラインでも仕事のやりとりに問題はないということを見せましょう。

これから妊娠を考えている場合や、今の仕事の状況からどうしてもリモートワークが望み薄である場合は、リモートワークが可能な環境を手に入れるべく動くことも考えましょう。職種を変えたり、正規雇用を目指したり、派遣社員・パート・フリーランスでもリモートワークが可能な仕事を見つけたりと、多彩なアプローチが考えられます。

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